日本橋の三井記念美術館で2月7日まで、柴田是真の漆絵の展覧会が開かれています。私も初めて名前と漆絵というものを知りました。どんなものかと、大して期待はしていませんでしたが、日本の伝統技術のすばらしさに納得。ぜひご覧になるとよろしいかと。ここは着物で入場すると1200円が800円になるというおまけつきです。
エントランスから、エレベーターの造作から三井美術館の雰囲気で、エレベーターの通過階表示も時計の針で表示するというところまでこだわっています。自宅にエレベーターの設置予定の方は参考に訪れて見るのがよろしいかと存じまする。
2007年に銀座のギャラリーで生誕200年の展覧会があったようです。今回は「美の巨人」で取り上げられたということで、来館数がかなり増加しているようでした。この規模の美術館で作品の前に行列ができるというようなことはまれにしかありません。
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1 台所道具尽の飾木刀 裏に金薄肉高蒔絵で、三度たく米さへ こはしやはらかし おもふままには ならぬ世の中 (便々館湖鯉鮒べんべんかんこりふ)の狂歌が書かれていました。 これは変哲もない木の棒が小さな木刀風に仕上げられているだけで、その辺に転がっていたら子どもが蹴飛ばしておもちゃにしそうな様子です。木の皮が削り残されたようになっているのですが、そこが漆絵になっているとのことです。そんなところに節はない、というところから、漆絵に気づかせる。そこが是真たる所以だそうです。
2 砂張塗盆
ブリキをこすって磨いて使っていた。なんだこれは?といった凹凸の見える昭和のレトロお盆。のように見えるのですが、お茶席で使う金物のお盆だそうで、もち手が金属のお盆だと思って、持つとその軽さに驚嘆する、というしかけです。つまり漆絵で、さも砂張(さはり)(銅にスズやナマリを溶かしてつくったもの)のみせる。是真のだまし
3 柳に水車文重箱
パンフレットを飾っている重箱 春と秋の替蓋つき
飾り物にせずに使ってこそ、とは思いますがね。
4 盆花に飛蝗図漆絵
かぼちゃの半開きのオレンジの花になんとバッタがへばりついていますよ。これは若冲も描きそうな構図です。バッタの細い足まで漆絵で書いているところがすごいものです。
5 烏鷺図漆絵
飛んでいる鷺の足先に羽毛が二枚舞っている。ちょっとしゃれています。
どれも予想以上にすばらしいものでした。それにしてもこの作品展の8割は アメリカのエドソンコレクションのものだといいますから、まあお金はあるところにはごまんとある。日本の魅力はすばらしいと思えばね。「美の巨人」で紹介されていた 今日の一枚 は板橋美術館所蔵 ということでしたので、まったく関係はありませんがちょっと安心いたしました。